イノテックは、半導体メモリー用テスターの販売拡大によって業績が急回復している成長
銘柄です。
今回の決算は非常に強く、PER約9倍、配当利回り約3.5%、ROE約16%という指標面にも
魅力があります。
ただし、株価は1月末の2,070円から大きく上昇しており、信用買い残も多いため、決算直後
の飛びつき買いよりも「株価が落ち着いたところを分割して買う」戦略が適しています。
2027年3月期・第1四半期決算
売上高だけでなく、利益が何倍にも増えている点が今回の最大のポイントです。
特に経常利益は、第1四半期だけで通期予想の約43%に達しています。単純に4分の1を経
過した時点としては、かなり高い進捗です。2027年3月期第1四半期決算短信
業績を牽引した事業
① テストソリューション事業が急成長
テストソリューション事業は、売上高が前年同期比131.3%増の61.79億円となりました。
前年同期は2.64億円の赤字でしたが、今回は10.21億円の黒字へ大きく改善しています。
主な要因は次のとおりです。
国内外向けメモリーテスターの販売拡大
半導体後工程用の検査ボード需要増加
台湾子会社の信頼性評価装置が好調
半導体の高性能化に伴う検査需要の増加
生成AIの普及によって高性能メモリーの需要が拡大すると、製造量だけでなく検査の複雑
さも増します。イノテックは、その検査工程で使われる装置やシステムを扱っている点が
強みです。
② 半導体設計関連も堅調
EDAソフトウェアや半導体設計支援を手掛ける事業は、売上高13.5%増、利益45.3%増
となりました。
半導体メーカーの設計作業が高度化するほど、設計ツールや外部の設計支援サービスへの
需要が高まりやすくなります。
③ 防衛・データセンター向けも成長
システム・サービス事業は、売上高16.8%増、利益32.8%増でした。
防衛向けやデータセンター向けの組込み製品が好調で、半導体市況だけに依存しない
事業構成になっています。
通期予想を上方修正
会社は2027年3月期の経常利益予想を37億円から40億円へ8.1%引き上げました。前期比
37.4%増となり、過去最高益予想をさらに上乗せしています。株探・業績予想修正
第1四半期の経常利益進捗率が約43%であることを考えると、今後もメモリーテスター
の販売が続けば、再上方修正の可能性は残されています。
ただし、半導体関連企業は製品の納入・検収時期によって四半期ごとの利益が大きく
変動します。第1四半期の数字を単純に4倍して考えるのは避けるべきです。
株価指標の評価
8月10日終値3,695円を基準にすると、指標には割安感があります。
注意したいのは、年間130円のうち50円が特別配当であることです。普通配当だけなら
80円ですから、現在の株価に対する実質的な普通配当利回りは約2.2%になります。
特別配当は将来も継続するとは限りません。「毎年130円もらえる」と決めつけないこ
とが大切です。
夜間PTSが下落した理由
好決算にもかかわらず、夜間PTSは3,587円と東証終値から2.92%下落しました。
考えられる理由は次の3点です。
好決算が事前にある程度期待されていた
年初来安値からすでに大きく上昇していた
上方修正幅が市場の強い期待には届かなかった
PTSは取引量が少ないため、少数の売買で価格が動きやすい市場です。そのため、PTS
下落だけで「決算が悪かった」と判断する必要はありません。
翌営業日の出来高、寄り付き後の安値、終値の位置を確認する方が重要です。
株価上昇の材料
メモリーテスターの国内外販売拡大
生成AI・高性能メモリー市場の成長
経常利益予想の上方修正
過去最高益更新の見通し
防衛・データセンター向け需要
PER約9倍、ROE約16%
増配と比較的高い配当利回り
注意すべきリスク
信用買い残が多い
信用倍率は457倍と非常に高い水準です。これは信用売りが極端に少ないことも理由です
が、買い方に偏っているのは事実です。
株価が下がり始めると、信用買いの損切りが重なって下落が大きくなる可能性があります。
半導体市況の変動
半導体設備投資は好況と不況を繰り返します。顧客の投資延期、在庫調整、納入時期の
ずれによって業績が変動する可能性があります。
株価はすでに大幅上昇
年初来安値2,070円から3,695円まで約79%上昇しています。一方、年初来高値4,915円か
らは約25%下の位置です。
割安指標だけを見て一度に大量購入するのは避けたいところです。
具体的な投資戦略
新しく買う場合
決算直後は値動きが荒くなる可能性があるため、3回程度に分ける方法が無難です。
1回目:3,500~3,600円前後で下げ止まりを確認
2回目:3,300~3,400円前後まで調整した場合
3回目:次回決算で業績の継続を確認して追加
3,700円を超える水準で買う場合は少額にとどめ、上昇を追いかけすぎない方がよいでしょう。
すでに保有している場合
3,800円を明確に上抜けば4,000円台回復を期待
4,000~4,300円では一部利益確定を検討
4,915円の年初来高値が中期的な大きな目標
3,400円前後を明確に割れば保有割合を見直す
利益が十分に出ている場合は、全部売るのではなく3分の1だけ利益確定し、残りを中長期
で保有する方法もあります。
総合判断
イノテックは、好決算、上方修正、過去最高益予想、増配という好材料がそろっています。
PER約9倍だけを見ると割安ですが、信用買い残の多さと株価の急上昇には注意が必要です。
短期判断:中立~やや強気
中長期判断:強気
おすすめ戦略:決算後の押し目を3回程度に分けて買う
最大の確認点は、今回急増したメモリーテスター需要が第2四半期以降も続くかどうかです。
次回決算で受注や利益率が維持されれば、年初来高値4,915円への再挑戦が現実味を帯び
てきます。
※株価水準は2026年8月10日終値を基準とした目安で、投資判断はご自身の資金状況と許容
できる損失額に合わせて行ってください。
イノテックは、好決算、上方修正、過去最高益予想、増配という好材料がそろっています。
PER約9倍だけを見ると割安ですが、信用買い残の多さと株価の急上昇には注意が必要です。


