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新NISAで「株主優待株」の魅力もアップ 〝優待弁護士〟が選ぶお宝株とは

 




新NISAで「株主優待株」の魅力もアップ 〝優待弁護士〟が選ぶお宝株とは

新NISA2024/01/31/ 06:30
写真はイメージです©gettyimages

 個人投資家から根強い人気の「優待株」。新NISA(少額投資非課税制度)のもとでさらに関心は高くなりそうだ。約10年にわたって優待株投資を手がけることから「優待弁護士」とも呼ばれる秋法律事務所の澤井康生・弁護士に、投資法やお勧めの銘柄を聞いた。

【表】「優待弁護士」おススメの株主優待株はコチラ

 株主優待は、企業が株主に対して商品や金券などをあげる制度をいう。任意の制度なので、やるかどうかや、内容は企業によって様々だ。個人投資家の人気は根強く、企業にとっては株主を増やす手段として位置づけることもできる。

 新NISAで優待株投資が有利になる面もある。新NISAでは非課税で運用できる期間の制限がなくなったためだ。優待品やサービスの中には「保有期間○年以上」といった具合に、長く持つことが条件のものもある。

 旧NISAの「一般NISA」は、非課税で運用できる期間が5年と限りがあった。非課税期間が終わると課税口座に移される。そのため例えば、5年以上保有することが条件の優待を実施する企業に投資するのにためらう人がいたかもしれない。

値動きが安定する効果も

 新NISAで個別株にも投資できる「成長投資枠」は年最大240万円までで、株価が高い銘柄は買えない場合もあるが、新NISAをきっかけに新しく投資を始める人が増え、今後は優待株の値動きが安定する効果も期待されている。「優待弁護士」の澤井さんはこう話す。

「新NISAを通じて株式を買う投資家は、長期保有する傾向があると言われます。もともと優待株は長く持つ投資家が多いとされますが、新NISAによって、さらに売られにくくなるかもしれません。そうなれば、値動きはもっと緩やかになる可能性があります」

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池田正史

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 澤井さんは、これから投資を始める人は、新NISAで人気のある「高配当株」のうち、優待も実施している銘柄を選ぶとよいという。新NISAでは配当も優待も非課税だ。優待と配当を合わせた恩恵がフルに受けられる点は大きい。

 その上で、銘柄選びにあたっては「優待の内容が自分にとって利用しやすいものかどうか」に注目すべきだという。

「身近だったり日常的に利用できたりするモノやサービスなら、利用価値はより大きくなります。楽しめるだけでなく、家計の負担を和らげることにもつながるでしょう」

半導体市況の回復

 こうした点から、澤井さんがお勧めするのが上の表に挙げた銘柄だ。

 このうち大成温調は、国内をはじめ、中国や米国など海外にも展開する空調や給水などの設備工事会社。同社株を300株以上保有する株主は、1万6千円相当のQUOカードがもらえる。「優待でQUOカードを贈る企業は多いが、大成温調の優待は比較的高額な点が特徴です」(澤井さん)。

 独立系の半導体商社マクニカホールディングスは、100株以上の保有で1千円相当のQUOカードが、200株以上で3千円相当の商品が選べるカタログギフトがもらえる。優待はもちろんだが、今後期待される半導体市況の回復が、業績や株価の追い風になりそうな点がお勧めの理由という。

 イオンモールは、自社で開発・運営するショッピングセンター(SC)「イオンモール」をはじめ、イオングループ各店で使えるギフトカードやカタログギフトがもらえる。澤井さんは「投資金額の割に比較的高額分の優待が受けられます。私自身も近所の店舗でよく利用しています」と話している。

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写真はイメージです©gettyimeges

 優待株を取引する場合は「権利付き最終売買日」前後の値動きに注意しよう。優待や配当を受け取る権利を得るためには、この日までに株式を持っている必要がある。優待が人気の銘柄は、この日に向けて取引が増え、株価が値上がりする傾向がある。

個人マネーを取り込む

 前出の澤井さんは続ける。

「『優待取り』と言われる取引が目立ち始めるのは大体、権利付き最終売買日の1カ月前くらいからでしょうか。高値で買うのを避けるには、株価が上がりだす前か、権利付き最終売買日翌日の『権利落ち日』以降に株価が落ち着いてからのタイミングを狙うといいでしょう」

 最近は換金に手間がかかったり、小口の株主が優遇される傾向があったりすることなどから機関投資家から不公平感が指摘されたり、株主数の基準が緩和されたりしたことで、優待を廃止する動きも目立つ。その一方で、反対に、新NISAで流入する個人マネーを取り込むため優待内容を拡充・新設する企業もある。業績など、それぞれの企業特有の理由から内容が変わるケースも珍しくない。

 優待そのものの内容を調べるのは当然として、企業や株式市場の動きもよく見ながら選ぶように心がけよう。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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高配当プラス株主優待

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